滞納の消費税・所得税が消滅しゼロに
北海道札幌市のマジメさん(仮名)=建設基礎工事=は先ごろ、消費税と所得税を合わせて757万円の滞納処分が停止された。
滞納処分の執行をすることができる財産がないこと(国税徴収法155条第1項1号)が認められたものだ。
処分が取り消されず、3年間継続した時は納税義務が消滅する。「自らの事業に見切りを付けざるを得なかったけれど、長男の会社の相談役としてこれからも頑張る」と気持ちを新たにしている。
消費税・所得税・源泉徴収税・住民税・国保料が払えない
マジメさんは30年ほど前に飲食店から転業して建設基礎工事業を始め、順調に事業を行っていた。
しかし、2008年のリーマンショック以降、工事受注量が激減し、従業員を減らすことに二の足を踏んでいるうちに経営が悪化。
消費税や所得税をはじめ源泉徴収税や住民税、国民健康保険料が払えなくなり、銀行から借り入れをして分納を続けた。
消費税と所得税が滞納に
2014年からの消費税8%への増税に伴って申告の計算が分からず、飲食店を始めたときに相談していた仕事人グループ(仮名)に再び相談した。
その時は滞納については「何とかなる」と思っていたが、その後、消費税と所得税が払えず、税務署に何度も厳しく督促されて仕事人グループに相談。750万円を超える滞納があることを明かした。
法人設立と廃業届
相談を受けた仕事人グループでは、マジメさんの年齢を考え、同業に従事する長男を実質後継者とする方向で話し合った。
折を見て元請けに長男を紹介し、仕事の受注継続の了承を得た上で2015年6月25日、長男を代表者にして法人を設立する一方で、マジメさんは自らの仕事を徐々に減らし、同8月25日に廃業届を提出した。
税務署の追跡調査から「滞納処分の執行停止」
札幌南税務署は財産隠しや事業財産の譲渡を疑って追跡調査を行い、マジメさんを数度にわたって税務署に呼び出したり、訪問したりした。
しかし、何の財産も見つからず3年余りが経過し、3月7日付で「滞納処分の停止通知書」が届いたものだ。
(参考:全国商工新聞から)
最後の切り札「滞納処分の停止」
「滞納処分の停止」の要件
- 1号要件:滞納処分を執行することができる財産がないとき(個人・法人)
- 2号要件:滞納処分を執行することによってその生活を著しく窮迫させる恐れがあるとき
- 3号要件:滞納者の所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき
「滞納処分の停止」の要件が認められると
「滞納処分の停止」が認められれば、納税義務そのものが消滅する。(3年後、又は即時)
また、2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
今、制度を利用し財産を守ることで、事業・生活・家庭を守らない手はない。
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