前回の記事では、「申請による換価の猶予」が、差押えの危機からあなたを救う、非常に強力な法的武器であることを解説しました。
「自分も、この制度を使ってみたい!」
そう思われた方も、多いのではないでしょうか。
しかし、この強力な武器を使いこなすためには、避けては通れない、2つの大きなハードルが存在します。
ハードル①:『担保』の提供
ハードル②:専門的な『申請書』の作成
「担保になるような財産なんて、持っていない…」
「申請書なんて、何をどう書けばいいか、さっぱり分からない…」
多くの方が、この2つの壁を前に、申請を諦めてしまいます。
しかし、ご安心ください。この壁には、乗り越えるための“コツ”と“例外”が存在します。
この記事では、いわば“実践編”として、この2大ハードルを越えるための、具体的な知識と方法を、専門家が分かりやすく解説します。
この記事の目的は、
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「申請型換価の猶予」における、**最大のハードルの一つである「担保」について、その原則と例外(不要になるケース)**を、正しく、そして分かりやすく解説すること。
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もう一つの高い壁である**「申請書の書き方」**について、どのような情報を、どのように記載すべきか、そのポイントを具体的に示すこと。
猶予申請書は、申請型「換価の猶予」を含めて4パターン
まず、猶予申請書です。猶予申請には、職権型の「換価の猶予」を含めて4パターンがあります。
猶予の区分 | 猶予申請書 | 猶予申請できる要件 | 添付書類 |
納税の猶予 | 納税の猶予申請書
(通常の納税の猶予) ※通46② |
災害・盗難・病気・貸倒れ、事業上の著しい損失等に起因した納付困難な場合
(原因発生後速やかに申請) |
災害・盗難等事実を証明する書類 |
納税の猶予申請書
(賊課遅延に係る納税の猶予)※通46③ |
1年以上課税の遅延が生じた場合で、納付困難なとき
(納期眼内の申請が要件) |
遅延した事実があればよい | |
換価の猶予 | 換価の猶予申請書
(申請型) |
納税の誠意が認められ、一時に納付することにより事業の継続、生活の維持を困難にするおそれ
(納期限から6カ月以内の申請) |
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分割納付計画書
(職権型) ※猶予申請書ではないが実務上申請書に代わるものとして使用される |
納税の誠意が認められ、直ちに換価することにより事業の継続、生活の維持を困難にするおそれ、または猶予することが徴収上有利の場合のいずれかに該当 |
【ハードル①】「担保」は、本当に必要か?
「申請による換価の猶予」では、原則として、猶予を受けたい税額に相当する担保を提供することが、法律で求められています。
【担保として認められるものの例】
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国債、地方債
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土地、建物(抵当権が設定されていないもの)
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信頼性のある保証人 など
「そんな財産、持っているわけがない…」
そう思われた方が、ほとんどでしょう。しかし、ここで諦めるのは早いです。
【重要!】担保が「不要」になる、3つのケース
法律には、但し書きがあります。以下のケースでは、担保を提供する必要はありません。
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猶予を受ける金額が「100万円以下」である場合
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猶予を受ける期間が「3ヶ月以内」である場合
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担保として提供できる財産がないなど、「特別な事情」がある場合
特に重要なのが、この**③「特別な事情」**です。
あなたが本当に資力がなく、担保にできるような財産を持っていないことを、客観的な資料で、説得力をもって証明できれば、たとえ猶予額が100万円を超えていても、担保なしで猶予が認められる可能性は、十分にあるのです。
この「証明」こそが、専門家の腕の見せ所となります。
【ハードル②】何をどう書く?「申請書」作成の3大ポイント
「換価の猶予」の申請は、全て書面で行われます。口頭でいくら窮状を訴えても、意味がありません。
申請を成功させるための、申請書作成のポイントは、以下の3つです。
①「換価の猶予の要件に該当する事実」を、具体的に書く
申請書の中心となる部分です。なぜ、税金を一括で納付すると、あなたの事業の継続や、生活の維持が困難になるのか。
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「売上が、前年比〇%減少した」
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「主要な取引先が倒産し、〇〇円の売掛金が回収不能になった」
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「病気により、医療費が月々〇万円かかっている」
など、抽象的な言葉ではなく、具体的な数字と事実で、窮状を記載する必要があります。
②「財産収支状況書」を、正確に、そして誠実に書く
あなたの収入、支出、そして全ての財産(預金、不動産、保険、車など)と負債(借金など)の状況を、詳細に記載する、非常に重要な添付書類です。
ここで、財産を隠したり、嘘の記載をしたりすると、「納税の意思が誠実でない」と判断され、申請は一発で却下されます。全ての情報を、正直に開示することが、信頼を得るための第一歩です。
■猶予申請に添付する資金繰り・財産等を証する添付書類
区分 | 添付書類 | ||
猶予対象金額 | 100万円以内 | 財産収支状況表 | 職権型の場合も添付 |
100万円超 | 財産目録 | ||
収支の明細表 | |||
担保に関する書類 | 担保提供書
抵当権設定に関する書類など |
猶予金額が100万円以下、猶予期間が3カ月以内等の場合は担保不要 |
③「分割納付計画」を、実現可能な範囲で、具体的に書く
「猶予が認められたら、今後、いつ、いくらずつ、どのように支払っていくのか」という、具体的な計画を示します。
ここで重要なのは、見栄を張って、無理な金額を書かないこと。月々支払える、ギリギリの、しかし「これなら絶対に守れる」という、実現可能性の高い計画を提示することが、担当者を納得させる鍵となります。
まとめ:高度な“法律のパズル”は、専門家と共に
「申請による換価の猶予」。
それは、あなたの状況を、法律で定められた要件のパズルに、一つ一つ、正確にはめ込んでいくような、極めて専門的で、緻密な作業です。
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担保の壁を、どう乗り越えるか。
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申請書を、どう書けば、行政は納得するか。
そのパズルを、あなた一人で完成させるのは、ほぼ不可能です。
ピースを一つでもはめ間違えれば、あなたの申請は認められず、差押えという最悪の事態へと突き進んでしまいます。
どうか、その重要なパズルを、一人で解こうとしないでください。
私たち専門家は、そのパズルの、誰よりも優れた解答者です。あなたにとって、最も美しく、そして完璧な形で、そのパズルを完成させてみせます。
あなたにとって最も有益な情報を
あなたが、お金は有るが税金は払いたくなく、滞納しているのであれば「払えよ」としか言いようがない。
あなたが、払いたくても払えない人であれば、あなたの状況を好転するための最も有益で価値のある情報を提供することを約束する。
すべての問題の解決には、
- 基本である制度を知る
- 参考となる実例を基にシュミレーション
- 交渉を優位に進める
の3点を、三位一体で進めなければ解決には至らない。
解決事例から、あなたの状況を解決に導く実例を参考に、解決に繋げていただきたい。
制度の理解や、確実に成果を上げるための交渉・申請のポイントを、簡単に分かりやすくまとめたマニュアルも提供しているので確認していただきたい。
お客さまの声
三重県:男性
「督促状・差し押さえ対策マニュアル」を購入し、
兵庫県:女性
差押え解除のお願いに役所に何度出向いても「無理」の一点張りでしたが、督促状・差押えマニュアルを読んで交渉したら職員の態度が180度かわりました。本当にマニュアル通りに交渉したらこんなに簡単に解決できたのにビックリです。今後は経営を立て直すための勉強もしっかり進めていこうと考えています。再チャレンジができるのもマニュアルのおかげです。ありがとうございました。また、これからもよろしくお願いします。
愛知県:男性
御社が資金繰りが専門の会社とは知りませんでした。スタートアップセミナーなどにも多く参加しネットショップを開業しました。しかし、現実は厳しく学んだものはほとんど使えない知識ばかりでしたが、ここの情報は凄い!ほんとに凄いです!言われてみたら「なるほど」と思うことばかりですが、こんなに簡単にすぐに成果を出せるノウハウは他には絶対ないですね。開業前に知っていたらこんなに苦労しなくて済んだかも・・・です。
無料 差押え3対策
差押問題の解決には3つの必要なことがある。
- ひとつ目は、法的制度を活用し、確実に徴収権力から差押えを回避・解除・返金することだ。
- 二つ目は、そもそもの税・保険料額を見直す。
- 三つ目は、収支・資金繰りを見直す。
ひとつ目は上記に示すマニュアルを参考にしていただきたい。二、三については自分では十分に実施していると思っていても、第三者が客観的に見直すことで状況が一気に好転する場合も多々ある。
私たちがコンサルティングしているクライアント様であっても、見直すとほとんどの場合は改善点が見つかる。ただ、私たちが直接コンサルティングを行うと高額となるので、無料で見直しができるコンテンツを以下に示すので活用していただきたい。
税金や保険料の滞納だけでなく、借入金の返済問題も同時に抱えている人が多い一方、差押え問題の解決には債務整理も大きくかかわってくることはあまり知られていません。
なぜなら、一般的に言われるように税金の滞納は自己破産を行っても消えることはありません。しかし、実は債務整理を行うと同時に「滞納処分の執行停止」という制度を活用すれば滞納本税・延滞税をともに消滅させることができるのです。
債務整理は自己破産だけでなく様々な方法がありますので弁護士にご相談ください。滞納税金・保険料の納税義務を消滅させゼロにする唯一の方法である「滞納処分の執行停止」は、債務整理の手続き後に自らが申請することで適用される制度です。
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