突然の入院で医療費の支払いに困った岡山県岡山市のマジメさん(仮名)=飲食=はこのほど、高額療養費貸付制度を活用し、病院の窓口に6万8000円(一部負担金)を払うだけで退院することができた。
- 高額な医療費の不安
- 高額療養費貸付制度
- 国保料の分納から
高額な医療費の不安
飲食店を経営するマジメさんは左足の腿に痛みを感じていたが、「病院に行けば医療費がかかる」と妻・ヨイ子さん(仮名)に何も言わず我慢していた店を続けていた。
しかし、症状が悪化し、立つことも歩くこともできなくなったため、5月9日に受診したところ、「左下腿皮膚腫瘍」と診断され、10日間の入院になった。「入院費がはらえるか」と不安になったヨイ子さんは仕事人グループ(仮名)に相談。貸付制度があることを知った。
高額療養費貸付制度
貸付制度が活用できるのは国民健康保険料(国保料)の滞納が無い人が対象だったが、日本共産党の市議団が「国保料が期日通りに納めきれず、分納をしている人こそ医療費の支払いが困難だ」と議会でとりあげたことで変化。
10年前から分納している世帯は過去1年間分納していることや、滞納保険料の2分の1以上を納付し、計画的な納付を約束している人は「市長が特に必要と認める場合」を適用して貸付制度が活用できるようになった。
国保料の分納で貸付制度を活用
マジメさんは国保料の滞納があったが、毎月5000円ずつの分納を続けていたために貸付制度を活用することができた。
退院後、マジメさんは元気を取り戻し、「夫婦で頑張ります」と満面の笑みをみせている。
(参考:全国商工新聞から)
高額療養費貸付制度
一部負担金の限度額を超えた医療費は、申請すれば後から高額療養費として支給される(償還払い)。
高額療養費貸付制度は、各保険者が実施、国保は各自治体が実施、国保は自治体が窓口だ。
高額医療費が支給されるまでの間、8割を貸し付ける制度だ。突然の入院などで医療費の支払いが困難な場合、貸付制度を活用すれば、限度額を医療費は立替える必要がなくなり、病院の窓口には一部負担金のみの支払いで済む。
高い一部負担金
月々の高い保険料負担に加え、高い窓口負担は医療を受けるにあたって大きな不安となり、医療を遠ざける。
そのことは、医療の原則ともいえる早期発見・早期治療を遠ざける。そのことで、より重症化し、結果的に高額な医療費へと繋がる。
医療へのアクセスが遠ざかると患者自身の負担が大きくなるだけでなく、医療費全体の負担も大きくなり、社会にとっても医療費が増えるという大きなデメリットに繋がる。
岡山市の市議が指摘したように、厳しい状況の人ほど高額医療費貸付制度を必要としているという当たり前のことが、なかなか関係のない立場の人には分からない。是非、高額医療費貸付制度を知っていただき、医療費の不安を少しでも払拭し、早期発見・早期治療に繋げてほしい。
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