確定申告書のマイナンバー記載欄
確定申告書にマイナンバーの記入欄が新たに加わってる。
はじめて見る方は、そもそも「何これ?」って感じですよね。
- マイナンバーを覚えていない
- マイナンバーなんか知らない
- そもそも「記載しないといけないの?」
はじめに結論を申し上げると、答えは 記入しなくてもいい。
さらに、個人的には確定申告のみならず、すべての場合においてマイナンバーの記載はしないに越したことはないと考える。
なぜなら、記載するメリットが無いどころかデメリットしかないからだ。この辺りの説明は最後にするとして、「記入しなくてもいい」という根拠から説明する。
※本記事は2017年度に書かれたものだが、改めて2018年、2019年に税務署に確認し修正を加えた内容となっています。
各省庁の意見
以下は全商連というところのHPからだ。
全国中小業者団体連絡会(全中連)がマイナンバー(共通番号)制度実施の延期・中止を求め10月27・28日に行った省庁交渉によると、マイナンバーは「記載しなくても不利益はない」との回答であったようだ。元記事はこちら
各省庁の主な回答
国が直接回答しているため、最も信頼できる情報といえる。主だった各省庁の回答は以下の通りだ。
内閣府
- 「個人番号カード」の所得は強制ではない。所得せずとも不利益はない。
- 従業員から番号提出を拒否された記録がなくても罰則はない。
- 「個人番号カード」の取得は申請によるもので強制ではない。
- カードを取得しないことで不利益はない。「扶養控除等申告書」「源泉徴収票」などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険など書類に番号が記載されていなくても書類は受け取る。
- 記載されていないことで従業員、事業者にも不利益はない。
従業員から番号の提出を拒否されたときは、その経過を記録する。 - しかし、記録がないことによる罰則はない。
国税庁
- 確定申告書に番号未記載でも受理し、罰則や不利益はない。番号を扱わないことで国税上の罰則や不利益はない。
- 窓口で本人確認ができず、番号通知がなくとも申告書は受理する。
- 確定申告書などに番号未記載でも受理し、罰則・不利益はない。
- 事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない。
- 窓口で番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する。
- これらのことは個人でも法人でも同じ。
厚生労働省
- 労働保険の書類に番号の記載がなくとも受理する。罰則や不利益はない。
- 労働保険組合が番号を扱わないことで罰則や不利益はない。
- 労働保険に関して共通番号の提示が拒否され、雇用保険取得の届け出で番号の記載がない場合でも、事務組合の過度な負担が生じないよう、ハローワークは届け出を従来通り受理する。
- 罰則や不利益はない。
- 労働保険事務組合が番号を扱わないことによる罰則や不利益な扱いはない。
- 番号を記載した書類を提出するとき、提出者本人の番号が確認できない場合でも書類は受理する。
税務署へ確認してみた
各省庁の回答では「マイナンバーを記載しなくても良い」ということであったため、税務署に実際に確認してみた。
確認した相手は、税務署の総務課長だ。
Q1.各省庁の回答では「記載しなくても不利益はない」とのことだが?
A1.各省庁の回答通り。
ただし、罰則がないだけで、法律では「国民の義務」となったため、マイナンバーの記載は促す必要がある。その立場で申告者には必要と伝えている。
感想1 不利益無し
各省庁の回答通り「不利益無し」とのこと。ただし、知らない間にマイナンバー記載は「国民の義務」となっているようだ。そして、税務署は記載を促すというスタンスだ。
Q2.マイナンバー記載で混乱は?
A2.混乱が予想される。
マイナンバーを記載してある確定申告書を提出する者には、「なりすまし防止」のため、マイナンバー通知書と、本人確認のための運転免許証などの提出を求めている。
そのため、混乱と問い合わせへの対応で、例年に比べ申告手続きに時間がかかることが予想される。その旨を税務署内で知らせている。
感想2 例年より時間がかかる
行政サービスのスピード化がメリットであったように感じるが、逆に混乱を招き、時間がかかるということのようだ。「なんじゃそりゃ」
Q3.記載した申告書を持参し、通知書と身分証を持参していなかったら?
A3.無くても受け付ける
感想3 無くても、ええんかい!
そりゃ混乱が予想されるわ。結局、例年通りに記載しなで申告することが、申告者にとっては一番スムーズということでは?
確定申告書へのマイナンバーの記載等について
税務署へ確認した結果、やはり記載しなくても何の不利益もないようだ。
当然、税務署は言わないが、個人的には一番大変なのは税務署員ではないかと思った。確定申告での税務署窓口では様々な混乱が予想される。
例年通りに記載しないで申告するのが一番スムーズで、一番不利益がない申告方法ではないか。
確定申告でのマイナンバー記載のまとめ
やはり、マイナンバーの記載は必要ないという結論に至る。
このページは主に事業主側に必要な情報を発信しているが、従業員が「会社に対しマイナンバーの提出をしたくない」という話が実際には多いようだ。理由は「会社の情報管理が信用できない」ということだ。
ここで、事業主の皆さんは少しイラっとするかもしれない。しかし、冷静に考えればお互いに「言わない」、「聞かない」という関係が一番良いと思う。
事業主、従業員の双方ともにメリットは特にないマイナンバーには、できる限り関わらないことが得策ではないか。
マイナンバーには罰則も
何故なら、事業者側はマイナンバーの情報を漏洩させた場合、罰則が科せられる。最大で4年以下の懲役、200万円以下の罰金だ。
ちなみに、事業所以上に情報漏洩が心配な国(年金情報の漏洩や、数々のハッキングによる情報漏洩)だが、国がやらかした場合の罰則は特にない。すでに責任逃れを前提に考えているのでは?と思ってしまう。
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