北海道滝川市のマジメさん(仮名)は4月21日、国民健康保険税(国保税)や市民税の滞納を理由に滝川市に差し押さえられた国民年金について、差押え解除の上、全額(10万3000円)を預金通帳へ払い戻した。
また、国保税の減免申請も行い、18万7300円が13万7000円になり、5万300円が減免されることになった。
「仕事人グループ(仮名)に出会わなかったら、今ごろどうなっていたか。本当によかった」と話している。
国民年金が差押えられるも交渉で返金
様々な事情が重なって、3年前から市税を滞納。2年前に働いていた妻が病気で倒れ、翌年1月に入院し、医療費を捻出するために年金担保貸付を利用した。
この間、市役所は妻の介護保険料を徴収に来ても、滞納している国保税などの督促は文書のみで、個別相談も行ってこなかった。
年金10万3000円が差し押さえ
ところが昨年12月22日、突然、年金を差し押さえる旨の通知書が。この時の滞納額は本税と延滞税で60万円余りに。
2月15日には、年金17万円(33万円のうち、16万円を年金担保貸付の返済に利用)のうち、10万3000円が差押えられた。
「これでは生活ができない」と、困ったマジメさんは仕事人グループに相談した。
※年金の差し押さえ
年金は生活に欠かせない生存権的財産に当たる。年金の差し押さえは憲法25条の生存権を脅かすもの。
交渉で差押えられた年金が返金に
3月25日、市役所交渉を行った。
「生活実態を聞かずにいきなり処分を行い、しかも国税徴収法76条を逆利用して年金そのものを差し押さえた。年金担保貸付を利用していることは、調べればすぐにわかったはず。2カ月で7万円など、生活保護以下の金額では生活が成り立つはずがない」と訴えた。
マジメさんの妻も「借入のことを職員に話したら、そんなことはお宅の勝手でしょうと言われた」と抗議。
市税務部長は答弁不能になった。
その後、マジメさんは市と再度面談。4月15日に仕事人グループに「差し押さえた年金を4月21日に戻すとの文章が届きました」と喜びを伝えた。
(参考:全国商工新聞から)
滞納処分に関する考えや方法
国は自治体職員の乱暴な滞納処分に対し、滞納者に寄り添った対応を指導している。
●国税庁:H27年「納税の猶予等の取扱要領の制定について」(事務運営指針)で各自治体にその方針を指導している。
●総務省:自治体職員の乱暴な徴収行為に対し、「滞納者の実情を十分把握し、適切に執行するよう」指示した文書を自治体に初めて送付した。
●国会答弁:国会でも取り上げられている 👉参議院財政金融委員会で滞納整理が問題に
2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
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