税務署に抗議し納税緩和処置が認められる
消費税などの滞納を理由に売掛金を差し押さえられた愛知県名古屋市のマジメさん(仮名)=家具製造関連=は3月18日、名古屋西税務署に抗議し「換価の猶予」を認めさせた。
「これで商売が続けられる」と話している。
滞納税金800万円を分割払いでも減らず
マジメさんは母親の病気などで医療費がかかり生活が困窮。15年前から消費税や所得税の納税が困難となり、延滞税も含めて800万円が滞納となった。
滞納の消費税や所得税を分割して納付し、払えるときは20万円を納税したこともあったが、滞納額を減らすことができなかった。
税務署が差押えを強行・脅迫
税務署は、差し押さえなど強権的な処分を強行。困ったマジメさんは2月、税理士と一緒に仕事人グループ(仮名)に相談し、「納税の猶予」を申請した。
しかし税務署は、マジメさんを何度も呼び出し、「仕事人グループは連れてくるな」「申請を取り下げないと大変なことになる」と脅迫。
納税緩和処置の「換価の猶予」が適用
不安になったマジメさんンは3月18日、妻と仕事人グループのメンバーら4人で税務署に要請。特別国税徴収官が対応した。
事前に納税緩和処置について学習したマジメさんは「納税者にも権利があるのに、税務署が教えてくれなかった。このままでは商売が続けられない」と毅然とした姿勢で挑んだ。
メンバーは「取り下げを強要するとは許せない。納税者の権利を侵害するのはやめるべきだ」と強く抗議。納税者の権利である納税緩和処置の適用を求めた。
税務署はマジメさんの主張を認め、「換価の猶予」が実現した。
(参考:全国商工新聞から)
換価の猶予
換価の猶予とは、納付の誠意が認められる滞納者が
- 滞納処分で財産を換価することによって、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあるとき
- その財産を換価するよりも猶予する方が徴収上有利であるとき
のいずれかに該当すると認められる時、1年に限り(延長制度あり、最長2年)その財産の換価処分(公売)を猶予することができる分納制度だ。
認められれば差押えが猶予または解除され、分納中の延滞金が減額される。
換価の猶予には「申請型」と「職権型」がある。「申請型」のみの要件などもあるので、要件などをチェックし、双方をうまく活用する必要がある。
「換価の猶予」が認められると、
- 猶予期間(最長2年)の延滞税が半分免除になる。
- 認められれば通常、延滞税は9.1%で計算されるが、年率1.8%で計算され、免除の範囲がいっそう拡大する。
- 更に、既に差押えられている財産は公売にかけられない。
特に2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
今、制度を利用し財産を守ることで、事業・生活・家庭を守らない手はない。
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