所得税を延滞税減免で8回の分納
佐賀県佐賀市のマジメさん(仮名)=電気工事設備=は5月25日、2016(平成28)年度の所得税について申請型「換価の猶予」が認められた(国税徴収法151条の2第1項)。
42万円余りの所得税を5月から12月まで8回に分けて納付し、延滞税の税率も9%から1.7%に引き下がる。
「一括ではとても納付できないと思ってはいたけど、分納することができてほっとした」と喜んでいる。
- 税務調査で所得税が発生
- 分納計画と申請型「換価の猶予」制度
- 予定納税も減額申請
税務調査で所得税が発生
マジメさんは税務調査に入られ、昨年7月、インターネットで見つけた仕事人グループ(仮名)に相談。納税者の権利とともに記帳や申告実務などを学んだ。
2016年度の確定申告書を作成したところ、42万円の所得税が発生した。
今年に入ってから仕事量が減って資金繰りに苦しんでいたマジメさんは、どうやって納付しようかと頭を痛めていた時、差押えをされずに税金を分納できる「換価の猶予」制度があることを知った。
分納計画を立て「換価の猶予」申請書を作成
静岡県沼津市での仕事人グループの「換価の猶予」申請の取り組みを参考に、8回の分納計画を立てた申請書を作成。
5月2日、仕事人グループのメンバーと一緒に佐賀税務署に出向いた。
予定納税も減額申請
面談後に申請書を提出し、後日、税務署から電話が入り、「換価の猶予」が認められたことが伝えられた。
併せて「予定納税」が減額されることをアドバイスされ、7月に減額申請を出すことにしている。
参考:全国商工新聞から
換価の猶予
換価の猶予とは、納付の誠意が認められる滞納者が
- 滞納処分で財産を換価することによって、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあるとき
- その財産を換価するよりも猶予する方が徴収上有利であるとき
のいずれかに該当すると認められる時、1年に限り(延長制度あり、最長2年)その財産の換価処分(公売)を猶予することができる分納制度だ。
認められれば差押えが猶予または解除され、分納中の延滞金が減額される。
換価の猶予には「申請型」と「職権型」がある。「申請型」のみの要件などもあるので、要件などをチェックし、双方をうまく活用する必要がある。
「換価の猶予」が認められると、
- 猶予期間(最長2年)の延滞税が半分免除になる。
- 認められれば通常、延滞税は9.1%で計算されるが、年率1.8%で計算され、免除の範囲がいっそう拡大する。
- 更に、既に差押えられている財産は公売にかけられない。
特に2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
今、制度を利用し財産を守ることで、事業・生活・家庭を守らない手はない。
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