税務調査前にでっちあげ
税務署員が税務調査前に銀行への反面調査を行い、勝手に作成した修正申告書を元請け業者に渡し、下請け業者に提出させようとした「国税通則法違反事件」が発生した。
6月18日、笠岡税務署と交渉、修正申告書の撤回と謝罪を求めた。統括官は「あってはならないことをして申し訳ありません。修正申告書は無効です」と謝罪した。
反面調査し修正申告書をでっちあげ
修正申告をでっち上げられたのは岡山県笠岡市在住の元請け業者の外注として働いていた広島県福山市のマジメさん(仮名))=管工事=ら3人。
マジメさんは「税務署に謝罪を求めるなんて考えてもみなかった。仕事人グループ(仮名)に相談しなければあきらめていたと思う。相談してよかった」と話している。
税務署と長い交渉
交渉は11日にも続くもので4時間半にわたって署員の不当行為を追求した。マジメさんは「事実を明らかにし、謝罪を求める」請願書の回答とともに修正申告をでっち上げた署員の同席を求め、経過をつまびらかに説明して謝罪するように要求した。
税務署にしっかり抗議
仕事人グループ(仮名)のメンバーは「調査もせずに下請け業者の預金を調べて記録を提示し、元請けを通じて修正申告書を押し付けることは、税務運営方針や国税通則法を無視したもので守秘義務に抵触している。断じて許すことはできない。国会でも追及してもらう」と強く抗議。
統括官は17時過ぎから職員とマジメさんへの聞き取りを行い、修正申告書を作成したのが職員であったことが改めて判明した。
法令違反の税務署
元請け業者が同税務署から「資料をもって来るように」との連絡を受けたのは5月の末。応対した署員は元請け業者に修正申告を迫るとともにマジメさんら3人の家族を含めた通帳を示した。
元請け業者はその場で押印した上で3人に対して「税務署から用紙が届くので押印して送り返してほしい。税金は自分が負担するから大丈夫」と伝えた。その後、修正申告書が元請け業者から3人に手渡された。
税務署員が修正申告書を作成
マジメさんはそれを見てビックリ。自分の申告を無視した推計課税を行っていたのだ。
元請け業者にいきさつを聞いてもはっきりしないため、マジメさんは署員に電話。計算の根拠を尋ねると「元請け業者の資料を点検する中で、マジメさんたちの申告が違うと思って私が修正申告書をつくった」と明かした。
マジメさんはすぐに仕事人グループに相談。対策を話し合った。
事実確認を追求
11日の交渉では事前通知もせずに、しかも調査に入る前に納税者の同意も得ずに反面調査をしたことに抗議。
総務課長は「税務署運営方針は全署員に徹底している。事前通知は原則行うが、例外規定もある」などと答えた。
「調査前に反面調査ができるのか」との追及に対し、総務課長は「時間をください」と言って退席。
国税庁の問答集を手に持ち、「調査前に反面調査を行っても違法ではない」と答えたため、「そういう回答をする税務署は聞いたことがない。笠岡税務署では今回のようなことを日常的に行っているのか」と追及した。
総務課長は回答不能に陥った。
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