税金の滞納で自宅など不動産を差し押さえられたら
税金の滞納で自宅など不動産を差押えられたら悩んでいる時間はない。差押え後は「公売」に出され、市場価格よりもはるかに安価でたたき売られて滞納税の回収に充てられる。
早急に対応しなければ、住宅ローンが残っていようが、売却価格に納得がいかなかろうが、考慮されることは無い。公権力の行使により税金回収のために恐ろしいことが起こるということだ。
本記事では、差押えまでの流れや差押解除の方法を含め、あなたに有利となる解決策を詳しく解説する。直接サポートも行っているので必ず最後まで読んでいただきたい。
- 自宅や不動産の差し押さえの解除を求めることが最も重要
- 住宅ローンの支払い中に自宅が税金滞納で差押えられた場合
- 税金の滞納で自宅など不動産を差押えられたとき
自宅や不動産の差押えは解除を求めることが最も重要
自宅など不動産を差し押さえられると、差押登記という行政処分が行われる。差押登記がなされると自分では売却したくても売れない状態となる。
そのまま何も手を打たなければ「公売」にかけられ、強制的に市場価格よりもはるかに安くたたき売られる。その後、滞納税金分を徴収され、残った売却費が本人に支払われる。
このことから、最悪の場合は売却費で残りの住宅ローンを支払ったとしても完済とはならず、残るのは多額の残債のみとなる。
税金の滞納で自宅などが差し押さえられた場合、業者によっては「任意売却」を強く勧めることも多々あるが、解決策は決して「任意売却」のみではない。
そこで、最も重要なことは差押えられた不動産の差押えを解除することだが、差押えを解除できる方法は以下の3つに絞られる。
- 滞納本税・延滞税を一括納付する
- 交渉により解除を認めてもらう
- 納税緩和処置制度という法的猶予制度を活用する
1の「滞納本税・延滞税を一括納付する」が可能であれば困ってはいないと思う。そのため、2・3の方法に関しては後に詳しく解説するが、先ずは税金を滞納してから差押えが執行されるまでの流れを解説するので理解していただきたい。
税金滞納後の自宅や不動産はこうなる
税金の滞納分をそのまま放置しておくと、「滞納処分」を受け、自宅など不動産の差押え→公売処分という一連の流れとなる。
税金を滞納した場合は、国税徴収法(地方税法)により滞納処分となる。そのため、国税も地方税も滞納した後は基本的に同じ流れとなる。
1.税金の滞納
- 納付期限期限を過ぎた翌日から滞納となり延滞税が発生する
- 税金の納付期限は、税金の種類により異なる
- 納付期限は税納税通知書などに記載されている
2.督促状(催告状)による督促
- 納付期限後20日以内に督促状が送付される
- 国税徴収法では、督促状を発送した日から10日を過ぎると「財産を差し押えなければならない」とされてる(国税徴収法47条)
3.電話や文書等による督促
- 督促状を無視・放置していると電話や文書または訪問による督促がなされる場合がある
4.財産調査・差押調書
- 滞納者の生活自体や身辺調査、差押え可能な財産の有無など、差押え執行のために財産調査が行われる
- 財産調査を基に、差押えが可能な財産が見つかれば差押調書謄本などが送付される。(差押予告は自治体や担当者によっては無い場合もある)
5.差し押さえ・捜査
- 財産調査を基に、差し押さえるべき財産が決定されると差し押さえが執行される。
- 差押えは自治体の姿勢にもよるが簡単に執行される。国保料(税)だけでも、年間35万件程度が差押えられている。
- 滞納者が第三者に対して保有している債権などが取立てにより差押えられる場合もある
6.差押通知や差押登記
- 税金の差押えは、財産価値が高く、すぐに換価(現金化)できる ◉預金 ◉給与 ◉売掛金 ◉生命保険 が中心に差し押さえる傾向にある
- 売掛金の差押えの場合は取引先、給与の場合は勤務先、預金は金融機関へ差押通知書が送付される
- 不動産を差押えられた場合は差押登記がなされ、抵当権者などに差押通知書が送付される
7.公売処分・債権取立による換価(現金化)
- 差押え執行後も完納されなければ、公売処分や債権取立てがなされ換価(現金化)される
8.滞納した税金へ充当
- 換価された金額が未納分の税金に充当される
注意点:不動産の差押え
- 税金の滞納による差し押さえは、国税徴収法(地方税法)で徴収職員の裁量が幅広く認められているため、民間の差押えとは違い、裁判所の許可や判決が必要ない
- また、職務執行的には問題があるが、法的には滞納者に対して事前連絡や同意も必要ない
- 税金の滞納から差押え執行までの期間は、滞納の原因や滞納金額、徴収職員や各地方公共団体の徴収姿勢により違うが、国税徴収法で定める「督促状を発送した日から10日後に直ちに差押えられる」ということはさすがにない。ただ、地方公共団体によっては2ヶ月程度の滞納で差し押さえを執行する自治体もある。
競売と公売の違い
差し押さえ後の流れでは「公売」とよく似た制度で「競売」がある。一般的には「競売」の方が聞きなれているかとは思う。簡単に違いを言うと、
■公売
税金や保険料などの滞納により国税庁や地方公共団体により差押えられた場合に、国税庁・地方自治体により行われる。
■競売
住宅ローンや銀行借入、キャッシングなど民間債権の返済が滞った場合に債権者により裁判所を通じて行われる。
公売 | 競売 | |
債権の種類 |
租税債権 (税金・公的保険料など) |
民間債権 (住宅ローン・銀行債券など) |
主催 | 国税庁・地方公共団体 | 裁判所 |
財産 | 不動産・動産 | 不動産・動産 |
売却方法 | 期間入札・期日入札・インターネット公売・広告随意契約 | 期間入札 |
落札価格 | 高くても市場価格の70%~80% | 高くても市場価格の70%~80% |
「公売」と「競売」の最も大きな違いは、競売は債権者の申立てにより裁判所が行うのに対し、公売は国税局や地方公共団体に差押えの裁量が与えられている点だ。
また、近年の公売はできるだけ多くの入札を集めるため、Yahoo!官公庁オークションサイトにてインターネット公売が積極的に行われている。
住宅ローンの支払い中に自宅が税金滞納で差押えられた場合
住宅ローンを組んだ金融機関はあなたの自宅に「抵当権」を設定している。
「抵当権」とは、住宅ローンを払えなくなったときに金融機関が自宅を強制的に競売にかけられる権利のことで、「抵当権」は複数設定することができる。基本的には設定順に優先順位が付けられることとなる。
「抵当権」に対し、税金の滞納による差押えでは「差押登記」が付けられる。「差押登記」とは、あなたの不動産の登記簿に「差押さえ」と記載された状態となることだ。
「抵当権」と「差押登記」の優先順位は?
抵当権と差押登記はどちらが優先されるかというと、「抵当権の設定登記日」と、差押登記の原因となった税金の「『法定納期限』の期日」の早いほうが優先となる。
■例1:抵当権が差押登記よりも先に設定されている場合
住宅ローンの残債 | 1500万円 |
滞納本税+延滞税 | 300万円 |
抵当権の設定日 | 2018年5月1日 |
滞納発生の法定納期限の期日 | 2018年8月1日 |
差押登記の日付 | 2019年5月1日 |
競売または公売の落札価格 | 1000万円 |
【結果】
この場合、抵当権が差押登記よりも先に設定されているため、住宅ローン債権者に先取特権があり、その落札代金は全て住宅ローンの債務に廻される。
このことから、滞納している滞納本税・延滞税300万円はそのまま残り、更に住宅ローンの残債500万円も残ることとなる。
■例2:抵当権が納付期日より後に設定されている場合
住宅ローンの残債 | 1500万円 |
滞納本税+延滞税 | 300万円 |
抵当権の設定日 | 2018年5月1日 |
滞納発生の法定納期限の期日 | 2016年2月1日 |
差押登記の日付 | 2018年5月1日 |
競売または公売の落札価格 | 1000万円 |
【結果】
この場合、差押登記が設定される原因となった滞納発生の法定納期限の期日が抵当権の設定よりも早いため、租税債権に先取特権があり、その落札代金は全て滞納本税・延滞税に充当される。
このことから、滞納している滞納本税・延滞税は強制的に完納となる。しかし、残りの700万円が住宅ローン債権に充てられるも、住宅ローンの残債800万円が残ることとなる。
無益な差押えの禁止
例2ように、抵当権に優先して税金の滞納分が回収できるのであれば、税金滞納による不動産の差押えも有効だ。
しかし、例1のように「抵当権」に先取特権がある場合は、滞納税金の回収が全く見込めない可能性が高い。
ここで誰もが抱く疑問が、この様に「滞納税金の回収が不可能に近い差押えを執行することに何の意味があるのか?」とう疑問ではないだろうか?
実は国税徴収法第48条第2項法律では、「超過差押及び無益な差押の禁止」が定められている。
無益な差押えの禁止条項
無益な差押えの禁止条項
「差し押えることができる財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない」この規定を「無益な差押えの禁止条項」という。
要するに、差押財産価格< 滞納国税+滞納地方税+他債権+差押えに係る滞納処分費 である場合は、差押えることはできない。ということだ。
しかし、実際の徴収行政の現場では、明らかに回収が見込めない場合でも「無益な差押え」が執行され差押登記の設定が乱発されている。
なぜこのような差押えが可能となっているかと言うと、不動産の評価額は鑑定人により異なることから、評価が出るのを待っていると差押のタイミングを逃してしまう。そのため、優先する抵当権があり滞納税金の回収見込みがない場合でも、差し押さえることは違法ではないとの判例があることからだ。
実際、この判例を基に、国税庁による法令解釈通達でも「無益な差押にはならない」とされている。まぁ、嫌がらせ以外の何物でもない。
無益な差押の解除
国税徴収法では、「無益な差押の禁止」と同時に「無益な差押の解除」についても規定している。
無益な差押えの解除
国税徴収法第79 条第1 項第2 号は「差押財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び差押に係る国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の合計額をこえる見込がなくなったときは、差押えを解除しなければならない」と定めている。
税金の滞納による差押えを、「無益な差押えの禁止」や「無益な差押の解除」を根拠に解除するには高度な交渉スキルが必要となる。
上記の理由を根拠に差押えの解除を目指す場合は、もう少し詳しい解説をご確認いただき、直接、私たちにご相談いただきたい。
差押えられた不動産の公売を回避する
これまでにお伝えしてきた通り、税金の滞納により差押えられた自宅や不動産の差押解除はそんなに簡単ではない。
そのことから、先ずは差押解除を目指す前に、「公売」の回避を実現する方が先決な場合も多い。
差押えられても「公売」を回避することができれば大丈夫
例えば、税金滞納により自宅が差押えられたとしても、「差押えが執行された=すぐに公売にかけられる」というわけではない。
また、差押えが執行されたとしても公売により売却されるまでは、今までと同じように住み続けることもできるため、特に今までの生活と変わることは無い。
そのため、差押えの解除と同じく重要なことが「公売にかけられないようにする」ということだ。差押えられたとしても公売にさえかけられなければ問題ないともいえる。
でも、「公売を回避する方法があるのか?」という話だが、公売を回避する方法はある。しかも、法律で定められた制度で確実に公売を回避する方法だ。この制度を「換価の猶予」という。
「換価の猶予」制度とは
「換価の猶予」制度とは、納付の誠意が認められる滞納者が
- 滞納処分で財産を換価することによって、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあるとき
- その財産を換価するよりも猶予する方が徴収上有利であるとき
のいずれかに該当すると認められるとき、1年に限り(延長制度あり、最長2年)その財産の換価処分(公売)を猶予することができる分納制度だ。
認められれば差押えられた自宅や不動産の公売を回避できるだけでなく、延滞税も大幅に免除される。
換価の猶予には、「申請型」と「職権型」がある。「申請型」のみの要件などもあるので、要件などをチェックし、双方をうまく活用する必要がある。
「換価の猶予」が認められると、
- 猶予期間(最長2年)の延滞税が半分免除になる。
- 認められれば通常、延滞税は1%で計算されるが、年率1.8%で計算され、免除の範囲がいっそう拡大する。
- 更に、既に差押えられている財産は公売にかけられない。
特に2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
納税緩和処置制度で公売を回避
この「換価の猶予」制度は、納税緩和処置制度と言われる法的制度の一つだ。納税緩和処置制度には他にも「納税の猶予」と「滞納処分の執行停止」という制度がある。
いずれの制度も納税者にとって優位な制度設計となっており、納税者を滞納処分から守るための制度である。
今、制度を利用し財産を守ることで、事業・生活・家庭を守らない手はない。
税金の滞納で自宅など不動産を差押えられたとき
これまでにお伝えしてきた通り、税金の滞納により自宅などの不動産を差押えられた場合、解除や公売を回避することはそう簡単ではないということが分かっていただけたかと思う。
他にも、差押え解除を目指すにあたり最低限必要なことは、不動産評価額の鑑定書など客観的な証拠を提出しなければならない。
不動産評価額は、不動産鑑定士に依頼して不動産鑑定書を作成してもらう必要がある。しかし、鑑定書の作成には時間も費用もかかるだけでなく、客観的な数的証拠を提出しても、スムーズに差押えを解除できるとは限らない。
いや、そもそも嫌がらせで差押えを執行しているので、「あーだこーだ」といちゃもんを付けてきて差押え解除に応じようとしない場合がほとんどだ。
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