今回は岩手県北上市の2つの事例を紹介する。
1ケース目は、消費税の滞納税金を消滅することができて、精神的にも救われた事例。
2ケース目は、払えなくなった消費税の差押えを回避し、延滞税の一部免除と「払える額での分納」が認められた事例。
消費税が滞る【ケース①】
岩手県北上市でスナックを経営しているヨイ子さん(仮名)は、難病を患い店を休むことが多く、売り上げが年々減少。
2006年~08年の間に約102万円の消費税が滞納となり、自宅もローンが払えず手放し、事業資金の借入金も返済が滞った。
自己破産で借金は無くなるが・・・
東日本大震災の影響も重なり、仕事人グループに相談して昨年5月に破産の申し立て。
約3カ月後に免責決定が認められ、住宅ローンと事業資金の借金は無くなったが、消費税の滞納は残ったままだった。
滞納税金が消滅!
ヨイ子さんは仕事人グループからアドバイスを受け、昨年11月に花巻税務署に『滞納処分の執行停止を求める請願書』を提出。
ヨイ子さんの体調がすぐれなかったために、税務署による店舗と自宅の財産調査は今年の10月中旬になったが、「執行停止」を認めさせることができた。
執行停止が3年間継続すると、滞納税金は消滅する。
ヨイ子さんは「この数年間は眠れない日々が続き精神的にも限界だったが、仕事人グループに相談して本当に助かった。これで商売を続けられる」と喜んでいる。
資金繰り難で納付困難に【ケース②】
岩手県北上市で建設業を営むマジメさん(仮名)は、燃料代や資材価格の高騰と、元請けによる下請け代金の遅延などもあり、資金繰りが困難に。
今年3月に確定申告した約26万円の消費税が払えない状況に至った。困り果てたマジメさんは仕事人グループ(仮名)に相談。7月に「納税の猶予」を申請した。
分納・延滞税の一部免除!
そして8月に入り、税務署から「『納税の猶予』は無理だったが、『換価の猶予』は認める」と連絡が入った。
これにより毎月支払える金額での分納と延滞税の一部免除をかちとった。マジメさんは「これでなんとか仕事が続けられる。安心した」と喜んでいる。
(参考:全国商工新聞から)
納税の猶予
この「納税の猶予」制度は、正確には、国税と地方税によって制度の名称が違う。
- 国税の、「納税の猶予」(国税通則法46条2項)、
- 地方税の、「徴収の猶予」(地方税法15条1)、
ややこしいうえに概要は同じなので、まとめて「納税の猶予」と呼ぶ
「納税の猶予」が認められれば、
- 1年以内の納税が猶予される。また、最大2年の延長ができる。
- さらに、この制度で「猶予」が認めると延滞税が減額・免除される。
- また、「滞納」という扱いでは無くなるため、自治体の制度融資を受けることが可能となる。
換価の猶予
換価の猶予とは、すでに差押えられている財産。または、今後差し押さえの対象となりうる財産。の換価処分(公売)を、一定の要件に該当した場合に猶予し、分納を認める制度だ。
「換価の猶予」が認められると、
- 猶予期間(最長2年)の延滞税が半分免除になる。
- 認められれば通常、延滞税は9.1%で計算されるが、年率1.8%で計算され、免除の範囲がいっそう拡大する。
- 更に、既に差押えられている財産は公売にかけられない。
2015年に新設された申請型「換価の猶予」は申請の87%超が適用され、従来型の職権型「換価の猶予」も以前の3倍の適用が認められ飛躍的に向上している。猶予制度は大きな転換期を迎えている。
今、制度を利用し財産を守ることで、事業・生活・家庭を守らない手はない。
最後の切り札「滞納処分の停止」
「滞納処分の停止」の要件
- 1号要件:滞納処分を執行することができる財産がないとき(個人・法人)
- 2号要件:滞納処分を執行することによってその生活を著しく窮迫させる恐れがあるとき
- 3号要件:滞納者の所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき
「滞納処分の停止」の要件が認められると
「滞納処分の停止」が認められれば、納税義務そのものが消滅する。(3年後、又は即時)
各種制度の要件や内容はこちら ⇨ 住民税・固定資産税・国保料の滞納で差押え!相談はどこへ?
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税金や保険料の滞納だけでなく、借入金の返済問題も同時に抱えている人が多い一方、差押え問題の解決には債務整理も大きくかかわってくることはあまり知られていません。
なぜなら、一般的に言われるように税金の滞納は自己破産を行っても消えることはありません。しかし、実は債務整理を行うと同時に「滞納処分の執行停止」という制度を活用すれば滞納本税・延滞税をともに消滅させることができるのです。
債務整理は自己破産だけでなく様々な方法がありますので弁護士にご相談ください。滞納税金・保険料の納税義務を消滅させゼロにする唯一の方法である「滞納処分の執行停止」は、債務整理の手続き後に自らが申請することで適用される制度です。
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差押え回避のために「滞納本税だけ払い、延滞税は後から」という方法があります。
この方法は「延滞税に対して延滞税は発生しないため、これ以上支払額が増えない」だけでなく、地方公共団体の判断で延滞税の支払い免除となる場合も多くあります(延滞金の裁量は地方公共団体にあるため)。
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