延滞税
納付期限までに税金が納められなかった場合には、ペナルティーとして延滞税が課せられる。また、延滞税は国税だけでなく、地方税や公的健康保険料などでも同じく課せられる。
※国税に対して課せられるものを延滞税。地方税に対しては延滞金と呼ばれるが、本記事では延滞税と表記する。
延滞税の税率
延滞税の原則税率
①納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは、年率7%
②納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後は、年率14.6%
(注意)現在、延滞税は「原則税率」ではなく、年率の低い「特例基準割合」を用いた税率となっている。詳しくは以下で説明。
現在は 特例基準割合 を用いた延滞税率
✅ 延滞税の税率ポイント
- 延滞税の税率は上記で示す「原則税率」と、
- 「特例基準割合」を用いた税率
の2つの計算方法があり、そのいずれか低いほうの税率となる。
なお、現在は「特例基準割合」の方が税率が低くなっているため「特例基準割合」を用いた延滞税率となっている。
特例基準割合とは、
各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう。
延滞税の特例基準割合を用いた計算
納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは、特例基準割合+1%
納期限の翌日から2ヵ月経過した日以後は、特例基準割合+7.3%
延滞税の具体的な税率
納付期限から | 2ヵ月を経過するまで | 2ヵ月を経過した日以降 |
2013年まで | 4.3%前後 | 14.6% |
2014年 | 2.9% | 9.2% |
2015~16年 | 2.8% | 9.1% |
2017年 | 2.7% | 9.0% |
2018年 | 2.6% | 8.9% |
延滞税の免除制度
延滞税を免除し軽減させる制度を納税緩和処置制度という。その納税緩和処置制度の中に「換価の猶予」という制度がある。
「換価の猶予」制度は、税金を一時に納付することで生活や事業の維持が困難となる場合に、申請に基づき差押え財産の換価(現金化)が猶予される制度だ。
この「換価の猶予」制度の効果は、(1)換価の禁止(2)差押えの解除・猶予(3)延滞税の一部免除 と大きなメリットがある。
以下に延滞税の一部免除の効果を、上記で示した通常の延滞税率と比較した場合を示す。
通常の延滞税率と、一部免除の延滞税率との比較
納付期限から |
2ヵ月を経過するまで | 2ヵ月を経過した日以降 | |
2013年まで | 通常 | 4.3%前後 | 14.6% |
一部免除 | ー | 4.3%前後 | |
2014年 | 通常 | 2.9% | 9.2% |
一部免除 | 1.9% | 1.9% | |
2015~16年 | 通常 | 2.8% | 9.1% |
一部免除 | 1.8% | 1.8% | |
2017年 | 通常 | 2.7% | 9.0% |
一部免除 | 1.7% | 1.7% | |
2018年 | 通常 | 2.6% | 8.9% |
一部免除 | 1.6% | 1.6% |
※「換価の猶予」制度を活用することで、通常課せられる延滞税が大幅に軽減され、納税者にとって大きなメリットがあることが分かる。
延滞税の計算期間の特例
偽りや不正により国税を免れた場合を除いて、以下の場合には一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例がある。
- 期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。
- 期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。
- (確定申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告又は更正があったとき(平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用さる)。
延滞税の端数計算
- 本税の額に10,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てて計算する。
- 計算した延滞税の額に100円未満の端数があるときは、これを切り捨てて納付する。
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