社会保険料の滞納で100万円の超過差押え!違法と審査請求

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石川県金沢市のマジメさん(仮名)=サービス=は8月21日、社会保険料滞納を理由とした金沢北年金事務所による売掛金の差し押さえは違法であるとして、社会保険審査会に審査請求を提出した。

審査請求の理由として

  1. 国税徴収法第48条の「超過差し押さえ」にあたる
  2. 差し押さえた売掛金は事実上給与債権である
  3. 納税者の倒産を強要したもので憲法違反

の3点で違法であるとしている。

マジメさんは「現行の制度は、中小企業の経営者にだけリスクを背負わせている。新たに起業しようとする若い世代の芽を摘むようなやり方はやめるべき。

私たちの痛みを分かってもらうためにも主張したい」と請求提出の決意を語っている。

社会保険料が滞納で差押え

マジメさんが経営する株式会社は昨年3月に起業。しかし業績の悪化から今年に入って社会保険料が滞納となっていた。

7月26日に届いた差し押さえ調書には売掛金約290万円を差し押さえると記載されていたが、滞納額は190万円。100万円の超過差し押さえであった。

交渉でようやく返金

8月8日に行った交渉の場で年金事務所の中森徴収課長は「差し押さえを解除するつもりはない」と冷たく回答。

超過差し押さえの指摘について「超過分は新たな滞納発生分に充当するつもりだった」と発言した。

「違法な差し押さえだ。すぐに返金せよ」という繰り返しの指摘に「来週までに返金する」と回答し、1週間後に返金した。

 「つぶれて結構」撤回求め審査請求

しかし徴収課長は「社会に責任を負えない会社が存続するのはおかしい。そういう会社はつぶれてかまわない」などの暴言を吐き、「撤回しろ」との抗議にも態度を改めなかった。

マジメさんは審査請求の提出と併せて厚生労働省と日本年金機構、金沢北年金事務所に発言の撤回と謝罪を求める請願書を提出し、文書での回答を求めている。

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(参考:全国商工新聞から)

社会保険審査会への審査請求の理由

今回の社会保険料滞納を理由とした差し押さえの問題点が示されている社会保険審査会への審査請求の理由。順番に考えていきたい。

①国税徴収法第48条の「超過差し押さえ」にあたる

そりゃそうやろ。滞納額190万円に対して、売掛金290万円を差し押さえ。100万円の超過差し押さえ。そんなことが通用するわけがない。

まずは金沢北年金事務所の中森徴収課長の預金口座から、今後発生する税金や社会保険料のために100万円程度を差し押さえてやったらいい。

1週間後に返金したから良いということではない。そんなことで済むのであれば、泥棒も詐欺も返金すれば済むということになる。

②差し押さえた売掛金は事実上給与債権である

これは、労働債権は租税債権よりも先取特権がある。という主張だ。簡単に言うと「税よりも労働者の給料の支払いが優先」ということだ。

根拠は、09年2月の衆議院財務金融委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員(当時)が派遣会社の売掛金を、国税当局が一方的に差し押さえた問題を取り上げた。

「このなかには賃金が含まれている。労働者の命、生活を守る立場で是正せよ」と追及。

与謝野大臣(当時)は「私が弁護士なら、労働債権をまとめて回収し、租税債権より先取特権があると主張する」と回答した。

税金の回収よりも労働者の賃金支払いが優先するとの考えを示し、「その立場で行政も柔軟に対応すべきだ」と答えた。

売掛金が差し押さえられ、その原資が従業員の給与であることは非常に多い。労働債権であることをしっかりと主張することで、差し押さえが解除されるケースは多い。

参考はこちら:未納額2300万円で600万円差押え!給料の原資で解除

③納税者の倒産を強要したもので憲法違反

説明するまでもない。事業は様々なことで困難に至るケースはいくらでもある。

そこを何とか乗り越える努力を続けることで、持続可能な事業となる。そのことで、雇用と納税を生み出し続けることが可能となる。

事業を行ったことが無いバカ公務員のふざけた発言。金沢北年金事務所の中森徴収課長に知識が無く経営相談に乗れないからと言って、「社会に責任を負えない会社が存続するのはおかしい。そういう会社はつぶれてかまわない」という考えが、何の解決にも繋がらないことが分かっていない。

会社がつぶれたら経営者も労働者も窮地に追い込まれる。結局はより多くの社会保険料支出に繋がるだけだ。

その責任を徴収官は一切負わないので、こんなバカな発言が生まれるのであろう。

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